3Dプリンターを詳しくご紹介-【後編】~更なる表現を求めて
※本文をご参照頂く前に、下記リンクの「製作リポート」をご覧頂く事をお勧めします。
3Dプリンターを詳しくご紹介~季節の行事を添えて – アクリル板加工製品のオーダーメイド「株式会社 三協樹脂工作所」 (sankyojushi.co.jp)
前回、3Dプリンターを用いた製作工程をご紹介しました。
引き続き、更なる表現を求めて、様々なトライをしました。
表面処理を施しますよ
先ず、冒頭の画像にある様に、3Dプリンターで出力した生地の状態だと、材料が積み上がった際のしま模様が出ております。
これを解消する為にこちらを使用しました。
「モデリングコート」と云う、3Dプリントの表面処理に特化したキットです。簡単に言いますと、瞬間接着剤を塗りこんで、しま模様を埋めるものです。
以下のリンクにて製品内容や使用方法をご参照ください。
https://www.alteco.co.jp/cms/wp-content/uploads/catalog/modelling_coat.pdf
いかにも化学薬品と云う匂いがしますので、作業は換気の良い場所で行います。
今回は社屋の脇にある倉庫に作業場を設けました。
作業に掛かった時間は、部材2点で小一時間です。
作業の中で、コート剤を塗る筆が頻繁に固まってしまうので、この筆の処理や回復作業が結構な割合を占めます。
コート剤の塗り作業を終えた品々です。このページの先頭にある画像と比べて、表面にぽってり感が出ています。又、元のしま模様やギザギザな部分が消えている事が分かります。
更にひと手間加えますよ
塗布したコート剤の塗りムラで、表面にうねりが出ています。特に帽子については、リボンの形が埋もれてます。
ここで、更にひと手間を加える事としました。
100均で入手したスポンジヤスリでうねりを消します。名前の通り、紙ヤスリがスポンジに張り付いており、手への馴染みが良いので非常に作業がしやすく、オススメです。
併せて、埋もれたリボンの形もカッターを用いて掘り起こします。
上の画像は、リボンをカッターで掘り起こし、右半分にヤスリをかけたところです。左半分と比べて見ると、波状のうねりが取れて、プリントのしま模様が消えている事が分かります。
これからどうするの
さて、帽子は表面処理をしたものの、結構な手間暇がかかることが分かりました。
本体にもヤスリがけをするのかを悩み考えた結果…コート剤の滴りが程よく感じたので、このままにします。 (都合よい解釈…)
使用するヤスリの番手を段階的に細かくしていき、ツルツルに仕上げる方法もありますが、今回はあることを試しました。
色を塗ります。
今回はこちらのアクリル絵の具を用意しました。U-35|ターナー色彩株式会社 (turner.co.jp)
一通りの表面処理を終えて着色する際は、プラモデル用の塗料を用いるのが一般的です。
塗料の検索をしていたところ、最近はアクリル絵の具を用いてプラモデルの塗装をする事も多い様で、この品物は「良い」との評判を目にしました。
評判を確かめたい気持ちもあり、使えば分かるさ!と云う事で、入手しました。
では参りましょう!!
諸事情により途中経過を飛ばして、いきなり結果発表です…
絵の具を水で溶きながら塗ると色付きが薄く、塗りムラが目立って貧祖な印象を受けたので、こりゃダメかな…と思いましたが、原液のまま塗ると、絵の具の盛り上がりで表情が出て、一気に面白くなって来ました。形勢逆転!この状態を利用して塗り進めます。
つばの部分は外側に向けて放射状に塗り、それが布の生地っぽさとして現れました。リボンの部分はわざと波打つ様に厚めに塗ったり、複数の色を重ねた事により、「こなれた感」が出たと思っております。
肝心の「本体」はどうなる…
そして本体は、目と口の部分を着色しました。(オバケなのに)生き生きとした表情が出る様にと、いろいろと手を加えましたが…
結果がこちらです!!
帽子とは打って変わり、「う~ん」と腑に落ちないので、ひと晩置いて塗装が完全に乾くのを待つ間に、良いアイデアが挙がるのを待ちます…
その結果、着色した上からコート剤を盛って、ツヤと立体感を出しました。いかがでしょうか。 (感想は皆様の胸の内に潜めてください…)
このままでは終わりませんよ
オバケの作業から変わりまして、この子を飾り付ける「ベース」も考えました。それがこちら…
アドビ・イラストレーターでササっとデザインを起こし、データを変換・修正して、NC機で切り抜き加工を行いました。これでハロウィン感が一気に高まりますでしょうか。
ですが、このベースの上にオバケをポンっと置く訳では御座いません。
某ガ〇プラに付属していた樹脂棒です。飛び道具の演出する為のものですが、たまたま手元にありまして、これは使えるかも…と思い立ちました。
この棒は手で簡単に曲げることが出来るスグれものです。日ごろから樹脂材を扱う我らでも、この存在を知りません。材質も不明です。 (恥ずかしながら勉強不足です。今度、材料メーカーさんに聞いてみよう…)
そして、ベースが完成しました!!
そうです、オバケなので浮きたいのです! 浮かせたいのです!!
オバケ本体の底面に、設計時点より取付け穴を付けておりましたが、樹脂棒と本体の穴の大きさが異なるので、棒にテープを巻き付けて調整しました。
また、ベース上に彫刻した凹部は、アクリル絵の具で着色しました。塗装時に絵の具が凹部からはみ出るのですが、絵の具の乾燥後に爪楊枝を使い、はみ出した部分をそぎ落します。
アクリル材は、塗料に含まれる溶剤に反応して化学変化を起こして割れたりしますが、絵の具には溶剤の様な強い成分を含んでいない為、安心して着色できます。
で、組み合わせて完成しました!!
ベース全体のデザインを生かしたくて、樹脂棒を端の方へ設置し、ベースの根元から手前方面へ湾曲させてオバケ本体と繋げる事で、宙に浮いてる表現が上手くいったと思います。
この様な連結でもバランスを保って立つ事が大きなポイントでしたが、たまたま目にした樹脂棒が期待通りの役目を果たしてくれました。
又、この棒は弾力性があるので、オバケに触れると赤べこの様にゆらゆらと動きます。その様子は以下のリンクにて動画を見ることが出来ます。
今回の様々なチャレンジを経て、今後の製作に向けて多くの収穫がありました。
いかがでしょう。ハロウィンを感じて頂けましたでしょうか。ご感想などありましたら、弊社Twitter等に頂ければ幸いです。
㈱三協樹脂工作所(@39414Co)さん / Twitter
今後も様々な情報を発信していきますので、よろしくお願いします。